責任ある製品の供給
東洋合成は人類文明の成長に貢献するという経営理念の元、持続的成長そして持続可能な社会の実現のため種々施策に取り組んでいます。サステナビリティ活動はそれらのベースとなる活動であり、強固なサプライチェーン構築を通じ、安定供給体制の強化を日々推進しています。
施策・取り組み内容
安定した供給体制のために欠くことのできない原材料調達に関して、持続可能性の観点から複数の取り組みを実施しています。その一つは「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」の認証取得です。パーム油の生産過程における人権問題、環境破壊を防止することを目的とした同認証を当社は2021年から取得しています。また製品生産に欠くことのできない鉱物類の調達に対し、「責任ある鉱物調達方針」を制定し、取り扱う鉱物が武力紛争や人権侵害を伴う環境下で採掘された鉱物資源ではないことの確認、調査を行っています。そして調達活動の根幹として調達基本方針、並びにCSR 調達ガイドラインを定め、当方針/ガイドラインをサプライヤー各社様にご理解いただくと共にアンケートへの回答、同意書への署名を通じ、ご賛同いただいています。
調達基本方針
相互信頼
お取引先様は当社事業発展の重要なパートナーであると認識し、調達活動を通じて共存共栄を目指した信頼構築を図ります。
法令遵守/倫理的な取引
国内外の関連法規を遵守し、社会規範、企業倫理に配慮した調達活動を行います。
公平かつ公正な取引
自由競争の原則に基づき、国内外全ての取引先に公平かつ公正な取引機会を提供します。
環境への配慮
化学メーカーの果たすべき責務として、地球環境への負荷を配慮した調達を行います。
CSR調達
企業の社会的責任を果たすため、安全、環境、人権に配慮したCSR調達を実施します。
CSR調達ガイドライン
1:環境への配慮
- 環境マネジメントシステムを構築、運用する。
- 製造時に使用される化学物質に対し、法令等に基づいた管理を行う。
- 製造工程に用いられる資源、エネルギーを効率的、また循環利用を促進する。
- 地球環境保全への取り組みとして、排水、排ガス、廃棄物処理を適切に管理する。
2:製品・サービスの品質安全性
- 品質マネジメントシステムを構築、運用する。
- 製品、またその原材料が法令で定める安全性を満たしていることを確認する。
- 取引先に対し、製品情報を正確に開示する。
3:労働環境における安全衛生
- 従業員が使用する器具、機器類に対して適切な安全対策を講じる。
- 労働安全に対する教育、訓練を実施し、定期的にレビューを実施する。
- 労働環境における衛生状況、悪臭、温度を把握し、管理、改善する。
4:人権尊重及び健全な労働環境
- 強制労働、児童労働を禁止する。
- 法令に定められた最低賃金、また超過勤務の手当を支払う。
- 法定労働時間を遵守し、かつ年次有給休暇の権利を付与する。
- 人種、年齢、性別、ジェンダー、国籍等を理由とした差別を行わない。
- 安全で清潔な労働環境を整備し、従業員の健康管理に配慮する。
5:法令・社会規範の遵守(全ての企業活動のベースとして)
- 会社法、独占禁止法等の関連法規を遵守し、公正な取引を実施する。
- 取引を優位に進めるための過剰な接待や、社会的儀礼の範囲を超える贈答をしない。
また業務上の有利な立場を利用して贈答・接待の提供を求めない。 - 反社会的勢力と一切の関わりを禁じる。
- 他社の知的財産権を侵害する事の無きよう、また自社の技術、ノウハウが侵害されることの無きよう、適切な管理を行う。
- 法令で規制される物品の輸出入に関し、法令を遵守、かつ適切な管理、確認体制を整えた上で実施する。
- 製品に使用される原材料が、紛争鉱物を始めとした地域紛争や人権侵害、環境破壊など社会的な悪影響を及ぼしていない物品であることを確認する。
6:地域・社会への貢献
- 自社、並びに関係施設が所在する地域社会とコミュニケーションを深め、地域の経済、文化、教育の発展に繋がる貢献活動に努める。
7:将来に向けた研究開発
- 自社事業活動の発展に加え、持続可能な社会に向けての研究、開発に努める。
8:ステークホルダーへの情報開示
- 社会的責任と高い企業倫理を遵守する為、法令により開示が定められた事業活動の内容、経営状況(財務状況、業績)及びリスクに関わる情報については、適時・適切に開示に努める。
責任ある鉱物調達方針
当社はグローバル企業としての社会的責任、コンプライアンスの観点から、紛争鉱物問題を重大な社会課題と捉え、タンタル、錫、タングステン、金、コバルト、マイカ等に対し、深刻な人権侵害や紛争などに、直接的、間接的に加担することがないよう供給業者の選定を行ってまいります。
また、当方針は日本国が加盟している経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に依拠します。
2021年度~2023年度 CSR調達ガイドラインアンケート結果
● 調査対象:原材料調達先 ● 調査対象企業カバー率:原材料購入金額の約80%
得点率/ 評価 | 得点割合 | 改善アクション |
---|---|---|
A評価85点以上 | 84.5% |
・分析結果に基づきサプライヤーにヒヤリングを実施し、実務状態を把握 ・一定基準を満たさなかった場合、是正処置を実施 |
B評価65点以上 | 13.8% | |
C評価65点未満 | 1.7% | |
回答計 | 100% |
【アンケート主要質問事項】
・環境/品質マネジメントシステムの導入有無
・法令遵守状況の確認
・労働環境の整備状況確認
・人権尊重への取り組み有無 など
ハラール認証を取得
当社は、宗教法人日本ムスリム協会から、市川工場と香料工場で製造する製品のハラール認証を取得しています。ハラールは「合法的である」ことを意味し、ハラール認証製品はイスラム教徒の生活に無くてはならないものです。当社の製品は、北米やヨーロッパなど世界各地に輸出しており、ハラール認証を取得していることで、全世界で約18億人以上とされるイスラム教徒の人々に安心して利用いただくことが可能となりました。近年ハラール製品は、グローバル化に伴う人や物の流れの複雑化のなかで、イスラム教徒の人々以外にも国内外で非常に関心が高まっており、ハラール認証製品の需要の大幅な増加が見込まれています。
2023年度活動報告
安定供給に対する取り組み
当社は、電子材料業界をはじめ、香料、農薬、食品などの幅広い業界へ、生活に直結する製品を供給しています。製品を安定して生産・供給するために、原材料・製品それぞれのリスクを分析し、安定供給に向けた取り組みを行っています。具体的には、お客様の中長期的な需要予測に基づいた生産計画の検討や、生産工場間の相互バックアップ体制、製品および原材料在庫の備蓄や備蓄先の分散化など、それぞれの製品の状況に応じてさまざまな取り組みを行っています。原材料調達においても、リスクをいち早く把握し、平時より複数のサプライヤーを選定するなどの対策で、安定した原材料調達に努めています。
また、何よりも事業を中断させないことが最大の貢献であると認識し、事業継続に関する取り組み強化にも努めています。外部評価機関において、ISO22301(事業継続)の認定取得、Ecovadisのサステナビリティ調査ではシルバー評価、日本政策投資銀行のBCM 格付けでは「防災及び事業継続への取り組みが特に優れている」と評価を受けております。今後も供給安定性を高めて、顧客の安心と信頼獲得に向けて取り組んでまいります。
お客様やサプライヤーと目線の合ったサプライチェーンを
化成品事業部
ファインケミカル東日本営業課 主事
松藤 弘2023年からの景気は、回復基調となる一方で、物流面では国内の「2024年問題」のみならず、海運においてもスエズ・パナマ2つの運河が同時期に通りづらくなったことで「長納期化・輸送コスト急騰」というリスクが顕在化しました。需要が増大する時期にタイムリーに製品供給できるかどうかは、特に当社のようにニッチなメーカーは真価が試されます。製品を通じて私たちの価値を提供し続けるためにも、お客様の視座に立てるよう日常的に情報交換し、未来を見据えた増産計画を描き、サプライヤーや物流企業とも目線の合ったサプライチェーンを繋ぐことで、これからも安定供給を実現してまいります。
安定供給に求められるのは迅速な情報収集と日々の関係構築
調達部 主事
中西 一義
原材料の安定調達には自然災害やパンデミックに代表される環境的リスク、各国間での紛争、政治不安などの地政学的リスク、経済危機や急激な価格変動といった経済的リスク等、種々の阻害要因への対応が日々求められますが、適切な対策を講じるためには迅速な情報収集とともにサプライヤー様との日々の関係構築が欠くことができません。先の見えない不確実性によるリスクを最小化するために、引き続き国内外のお取引先様との相互理解を深めてまいります。